赤ちゃん先生 トレーナー研修テキスト

Chapter 14 安全ガイドライン(赤ちゃん・ママ・参加者)

この章では、赤ちゃん先生クラスで最も大切な前提である
赤ちゃん・ママ・参加者の安全 について整理します。
「楽しい」「感動した」よりも先に、
まず安全が守られていること を、トレーナーの共通認識として確認します。

14-1 この章のゴール

  1. 赤ちゃん・ママ・参加者の安全の優先順位を共有する。
  2. 会場・動線・ふれあい場面での基本的な注意点を理解する。
  3. トレーナーとして「やってはいけないこと」が明確になる。
  4. 自分のエリアで守るべき安全ルールを言語化したくなる。

14-2 安全の優先順位と基本原則

① 安全の優先順位

  1. 1位:赤ちゃんの安全・健康
  2. 2位:ママ講師・保護者の安全・安心
  3. 3位:参加する子ども・大人(先生・社員など)の安全
  4. 4位:プログラムの進行・成果

プログラムの「ねらい」や「時間どおりに進めること」は大切ですが、
それより優先されるのが、人の命と安全 です。
迷ったときは必ず、この優先順位に立ち返ります。

② 基本原則

  • 「少しでも危ないかも」と感じたら、迷わずストップ・中断する。
  • 一人で判断しない。先生・ママ講師・本部と相談する。
  • ルールは「厳しさ」より「予防」を目的として伝える。

■ トレーナーポイント
・安全は「守れて当たり前」ではなく、日々の準備と判断の積み重ねです。
・「ちょっと過敏かな?」くらいの感度で、ちょうど良いと考えてください。

14-3 会場・環境の安全チェック

① 会場到着後に必ず見るポイント

  • 床:滑りやすくないか/段差やコードはないか。
  • 机・イス:角・高さ・配置(ぶつかりやすい場所はないか)。
  • 壁・棚:落ちそうな物・倒れそうな物はないか。
  • 温度・換気:赤ちゃんと参加者にとって適切か。
  • 非常口・避難経路:どこから出るかを事前に把握しておく。

② 赤ちゃんスペースのレイアウト

  • 赤ちゃんのまわりには、できるだけ荷物やモノを置かない。
  • 敷物のめくれやすい端はテープなどで固定する。
  • ベビーカー置き場を決めて、動線を確保する。
  • 赤ちゃんスペースと、走りやすい動線を分けておく。

③ 子ども・参加者の動線

  • 「ここから前には出ないよ」のラインを、床テープや言葉で示す。
  • 走りやすそうな広い場所は、あらかじめ説明しておく。
  • 荷物・ランドセル・カバンは一カ所にまとめて置く。

14-4 赤ちゃんとのふれあいルール

① 基本のルール

  • 赤ちゃんに触るときは、必ずママの許可を得る。
  • 顔・頭・お腹は、基本的に大人(ママ・トレーナー)だけが触る。
  • 子どもが触るのは、「手」や「足」などに限定するなど、事前に伝える。
  • 赤ちゃんが嫌がっているサイン(顔を背ける・泣くなど)が出たら、すぐにやめる。

② 抱っこについて

  • 原則として、抱っこはママ講師・家族・事前に許可を得た大人のみ。
  • 子どもが抱っこする場合は、必ず大人が後ろから支える
  • 「赤ちゃんを持ち上げる」「走りながら抱っこ」は絶対にNG。
  • 写真撮影のためだけに、無理なポーズをさせない。

③ 触れ方・距離感の伝え方(子ども向け)

<声かけの例>
「赤ちゃんは、みんなよりまだちっちゃいから、
びっくりしないように、ゆっくり・やさしく おててでさわってあげてね。」

「お顔は、とっても大事なところだから、
今日は おててとあんよだけ さわることにしようか。」

14-5 ママ講師・保護者の安全と安心

① 身体的な安全

  • 長時間の抱っこになりすぎないよう、交代を前提にする。
  • 階段・段差・スロープの移動には、必ず大人が付き添う。
  • 荷物が多いときは、トレーナーや先生が運ぶのを補助する。

② 心理的な安全

  • ママ講師が「迷惑をかけてしまった」と感じないような声かけをする。
  • 子どもや大人からの心ない言葉があった場合、必ずフォローする。
  • 「今日は無理かも」というときに、休める雰囲気をつくる。

③ ママ講師への説明ポイント

  • 「赤ちゃん優先でいい」「途中で抜けても大丈夫」とあらかじめ伝える。
  • 「できた・できない」ではなく、「来てくれたこと」が価値であることを言葉にする。
  • 体調・メンタル面で気になることがあれば、事前に相談してもらうようお願いする。

■ トレーナーポイント
・ママ講師が安心して参加できることは、長く続けてもらうための土台です。
・「守られている」と感じてもらえる言葉と行動を意識しましょう。

14-6 子ども・参加者の安全

① 子どもの行動の特性を理解する

  • 興奮してくると、走り出したり触りたくなったりする。
  • 「良かれと思って」強く抱きしめてしまうこともある。
  • ふざけ半分で、危ない行動をしてしまうこともある。

② リスクの高い行動例と対応

  • 走りながら赤ちゃんに近づく → すぐに「止まろう」と声かけ。
  • 赤ちゃんの顔・頭を触ろうとする → そっと手をガードして、「おててだけね」と伝える。
  • 後ろから抱きつく → 赤ちゃんとママの体勢を整え、安全を優先して距離を取る。

③ 先生・引率者との役割分担

  • 行動面の指導(注意)は、基本的に先生や引率者にお願いする。
  • トレーナーは、危険を感じたらすぐ先生に合図する。
  • 事前に「危険な行動の例」と「そのときの役割」を共有しておく。

14-7 トレーナー・ママ講師がやってはいけないこと

① 身体的なNG行為

  • 赤ちゃんを片手で持ち上げる・ぶら下げるような抱き方。
  • 椅子・机の上に赤ちゃんを立たせる・座らせる。
  • 走りながらの抱っこ・階段での片手抱き。
  • 疲れているのに、無理して抱っこし続ける。

② 言葉・態度のNG例

  • 子どもや参加者の発言を笑いものにする。
  • ママ講師の子育てや家族の事情を否定するような発言。
  • 先生や企業担当者を批判するような話を子どもの前でする。

③ 情報・プライバシーに関するNG

  • 許可なく、個人が特定できる写真をSNSに投稿する。
  • 参加者の名前・顔・エピソードを無断で外部に共有する。
  • 赤ちゃんやママ講師のプライベート情報を他の場で話す。

■ トレーナーポイント
・「盛り上がるから」「ウケるから」といって、誰かの立場を弱くする笑いはNGです。
・安全と尊厳を守ることが、赤ちゃん先生の理念にもつながります。

14-8 安全を「文化」として育てる

① チェックリストを共有する

  • 開催前・当日・開催後の安全チェック項目を一覧にしておく。
  • 新しいトレーナー・ママ講師にも共有し、同じ基準で動けるようにする。
  • ヒヤリハットがあったら、リストを更新する。

② 「言いにくいこと」を言える空気

  • ママ講師が「これは危ない気がする」と言いやすい雰囲気をつくる。
  • トレーナー同士でも、気になる行動は話し合って改善していく。
  • 失敗を責めるのではなく、「学びに変える」文化を育てる。

③ 本部・エリアでのルール整備

  • 共通の安全ガイドラインを文書として整備する。
  • 定期的に見直し、現場の実情に合わせてアップデートする。
  • 新しいトレーナー研修の必須項目として扱う。

Chapter 14 のまとめ

  • 安全の優先順位は「赤ちゃん → ママ講師・保護者 → 参加者 → プログラムの進行」である。
  • 会場・動線・ふれあい方を事前に整えることが、事故やトラブルを減らす鍵となる。
  • 抱っこ・ふれあい・言葉がけには、守るべきラインとNG行為がある。
  • ママ講師と参加者の身体的・心理的な安全の両方を守る視点が必要である。
  • 安全は一人では守れない。チェックリスト・ルール・対話を通じて「文化」として育てていくことが大切である。

次の Chapter 15 では、この安全ガイドラインをさらに発展させ、
感染症・緊急時対応・メディア対応 について、
具体的なルールと対応フローを整理していきます。