赤ちゃん先生 トレーナー研修テキスト

Chapter 11 ママ講師との連携・支援

この章では、赤ちゃん先生プロジェクトを支える大切な仲間、
ママ講師 との関係づくり・育成・当日フォローについて整理します。
トレーナーは「教える人」ではなく、ママ講師の成長と安全を支える伴走者です。

11-1 この章のゴール

  1. ママ講師と信頼関係を築くコミュニケーションが分かる。
  2. 事前打ち合わせ・当日・ふりかえりの流れを理解する。
  3. ママ講師の成長を支えるフィードバックの型を身につける。
  4. 不安・トラブルへの対応方法を知り、安全な現場づくりができる。

11-2 ママ講師とは「現場の共創パートナー」

① トレーナーとママ講師の役割

  • トレーナー:場の進行・安全管理・全体の設計
  • ママ講師:赤ちゃんとの関わり、参加者との対話、体験の共有

② 関係性が品質を決める

赤ちゃん先生のプログラムは、スライドや教材ではなく、
人と人との関係性そのものが教材です。
トレーナーとママ講師が安心し合える関係ができて、初めて現場がうまく回ります。

■ トレーナーポイント
・「教える」ではなく「一緒につくる」という姿勢を大切に。
・ママ講師の不安の多くは、事前に対話すると解消できます。

11-3 事前打ち合わせのポイント

① 打ち合わせの基本構造

  • ・当日の流れの共有(タイムライン)
  • ・役割分担(抱っこ・移動・対話・安全ライン)
  • ・赤ちゃんの状態(寝る・泣く・機嫌の波)
  • ・困りごとの事前相談(体調・メンタル・家庭の状況)

② ママ講師が不安を抱きやすいポイント

  • 「泣いたら迷惑をかけてしまうのでは」
  • 「抱っこ交代のタイミングが分からない」
  • 「うまく話せる自信がない」

<声かけの例>
「泣くのは赤ちゃんのお仕事なので、迷惑じゃありません。
そのときの子どもたちの反応こそ学びになります。」

「抱っこは、こちらから“次お願いします”と合図します。
ママは赤ちゃん最優先で、大丈夫です。」

11-4 当日のチームワーク:空気づくり・動線・安全

① トレーナーが最初にやること

  • 会場レイアウトの確認(危険ポイントの除去)
  • 赤ちゃん・ママ講師の待機場所の確保
  • ウォーミングアップ(今日のテーマ共有)

② 当日の役割分担の型

  • トレーナー:場の進行・時間管理・問いかけ
  • ママ講師:赤ちゃんケア・近くの子への声かけ・手遊びなど
  • サポーター:荷物・ベビーカー・写真・全体補助

③ 子どもとの距離のつくり方

  • 最初の3分で「笑顔・目線・ゆっくり」
  • 赤ちゃんに触るときのルールを説明する
  • ママ講師が不安な表情をしていたら、さりげなく声かけする

■ トレーナーポイント ・当日の空気をつくるのはトレーナー。 ・ママ講師が安心して動けると、子どもたちの学びも安定します。

11-5 ふりかえりとフィードバックの技術

① フィードバックは「良かった点 → 改善点 → 良かった点」

いわゆる「サンドイッチ方式」が基本です。

  • ① 良かったところ(具体的に)
  • ② 次回へのヒント(行動ベースで)
  • ③ 最後にもう一度、感謝とポジティブな言葉

<良いフィードバック例>
「泣いてしまった瞬間に、落ち着いて抱き上げた姿がとても素敵でした。
次回は、最初の自己紹介のときに一言だけ“ママ講師の○○です”と入れると、さらに場がやさしくなります。
今日も本当にありがとうございました。」

② 注意点(NGなフィードバック)

  • 抽象的なほめ(「よかったですよ〜」だけ)
  • 評価やジャッジ(「もっと頑張ってください」)
  • 相手の事情を知らずに指摘だけする

11-6 不安・トラブルへの対応(伴走の基本)

① ママ講師が抱きやすい不安

  • 「赤ちゃんが泣いたらどうしよう」
  • 「迷惑をかけてしまうのでは」
  • 「他のママ講師と比べてしまう」
  • 「自分がチームの足をひっぱっている気がする」

② 寄り添いの言葉

  • 「大丈夫、ここでは赤ちゃん優先でいいよ。」
  • 「迷惑なんてことは一つもないよ。」
  • 「今日も来てくれたことがまず素晴らしいよ。」

③ 緊急時は「判断のライン」を共有

  • 体調不良・ケガ・メンタルダウンのときは、続行より安全優先。
  • 赤ちゃんの異変は、迷わず「中断 → 退避 → 交代」。
  • 責任者・先生・本部への報告ラインを明確にする。

■ トレーナーポイント 不安に寄り添うことと、基準を伝えることは両立できます。 やさしく、でも曖昧にはしないのがプロです。

11-7 ママ講師が成長する“関わり方”

① 小さな成功体験を積ませる

  • ・挨拶だけ担当してもらう
  • ・1分のエピソードトークをお願いする
  • ・次は抱っこのタイミングを任せてみる

② 1人で背負わせない

  • 赤ちゃんの状態によっては、別のママ講師と交代する文化をつくる。
  • できていない点より、「できている点」を必ず言葉にする。
  • 現場後に、「今日の気づき」を短く共有し合う場を作る。

③ チーム文化を育てる

  • ・感謝を伝え合うチャット文化
  • ・情報共有(写真・ふりかえり・成功例)
  • ・失敗談も話せる“安全な場”づくり

Chapter 11 のまとめ

  • ママ講師は「教わる人」ではなく「現場を共につくるパートナー」である。
  • 事前共有・当日動線・役割分担・安全ラインを明確にすると安心感が増す。
  • フィードバックは「具体的・行動ベース・サンドイッチ方式」で行う。
  • 不安には寄り添い、基準は明確に。やさしさとプロ意識の両立が大切。
  • 成功体験とチーム文化が、ママ講師の成長と継続につながる。

次の Chapter 12 では、ここで学んだ連携スキルを活かして、
実際のロープレ(説明会・企業提案) を扱っていきます。