10-1 この章のゴール
- 自己紹介・話し始めの型を持つ。
- 「伝わる言葉」と「伝わりにくい言葉」の違いを理解する。
- 聴き方・リアクションが信頼をつくることを知る。
- ママ講師・子ども・開催先から「また一緒にやりたい」と思ってもらえる関係づくりのヒントを得る。
10-2 自己紹介は「短く・あたたかく・目的とつなげて」
① 自己紹介で伝えたい3つのこと
- 誰か:名前・エリア・家族構成など。
- なぜここにいるか:赤ちゃん先生に関わる理由や思い。
- 今日どうなってほしいか:参加者へのメッセージ。
<自己紹介の例>
「みなさん、こんにちは。赤ちゃん先生トレーナーの〇〇です。
○○市に住んでいて、小学3年生の女の子と、2歳の男の子のママです。
今日は、赤ちゃんと一緒に“自分がどれだけ大きくなってきたか”を考える時間にできたらいいなと思って来ました。
どうぞよろしくお願いします。」
■ トレーナーポイント
・自分のストーリーを全部話そうとしないで、テーマに合う「ひと切れ」を選ぶ。
・自己紹介は「自分語り」ではなく、「場をあたためる時間」としてデザインしましょう。
10-3 伝わる話し方:ゆっくり・短く・ていねいに
① スピードと間
- 普段の会話より少しゆっくり話す。
- 大事な言葉の前後には「間」を置く。
- 笑いが起きたとき・感心の声が上がったときは、その反応を受け取る時間を取る。
② 難しい言葉をかみくだく
- 「価値観」→「大事にしている考え方」
- 「多様性」→「いろんな人がいていい、ということ」
- 「ワークライフバランス」→「仕事と家族の時間のバランス」
③ 具体例で話す
- 「忙しい」→「朝7時に家を出て、帰るのが夜の9時の日が続いて…」
- 「大変だった」→「子どもが毎晩1時間おきに泣いて、眠れない日が3か月続いて…」
■ トレーナーポイント
・「分かりやすさ」は、頭の良さよりも「相手に合わせる姿勢」から生まれます。
・一度話してみて、録音を聞き直すと、自分のクセがよく見えてきます。
10-4 聴き方がファンをつくる
① 「話し方」よりも「聴き方」
ママ講師・子ども・先生・企業担当者──
誰にとっても「ちゃんと聴いてもらえた」という感覚は、
「またこの人と話したい」「この人と一緒にやりたい」と感じるベースになります。
② 良い聴き方のポイント
- 話し手のほうに身体と目線を向ける。
- うなずきや「ああ」「うんうん」でリズムをつくる。
- 否定・評価の言葉を急がない。
- 「それは○○ってこと?」と要約して返してみる。
③ ママ講師との対話のときに
- 「どうしてそう思う?」より先に、「そう思ったんだね」と受け止める。
- うまく言葉にできないときは、「例えばこんな感じ?」と例を出して助ける。
- できていないところより、「できているところ」も必ずフィードバックする。
10-5 共感を生むストーリーの話し方
① ストーリーの基本構造
- Before:昔はこうだった。
- Challenge:こんな壁・悩みがあった。
- Turning point:こんなきっかけ・出会いがあった。
- After:今はこう変わった。
<話し方のイメージ>
「昔の私は、子どもを産んだら仕事はあきらめるしかないと思っていました。
でも、実際に子どもが生まれてみたら、“働きたい気持ち”も“そばにいたい気持ち”も両方あって…。
そんなときに出会ったのが、赤ちゃん先生の活動でした。
今は、子どもと一緒に社会とつながれることが、私の大きな支えになっています。」
② 「かわいそうな話」で終わらせない
- 過去のつらい経験を話すときは、「今どうなっているか」まで必ずセットで話す。
- 聞き手が「自分事として考えられるポイント」を一つ入れる。
- 「だからあなたにも、こうあってほしい」というメッセージで締める。
10-6 クレームになりそうな場面でのコミュニケーション
① まずは「事実」と「感情」を分けて聴く
- 「いつ・どこで・何が起きたか」(事実)
- 「そのとき、どう感じたか」(感情)
- 「今、一番困っていることは何か」(ニーズ)
② 言ってはいけないNGワード例
- 「でも」「そんなつもりじゃなかったんです」から始まる言葉。
- 「ルールですので」「前からそうしてますので」だけで終わる説明。
- 責任のなすりつけ(「○○さんがやったので」など)。
③ 基本の返し方
- 「ご不快な思いをさせてしまって、本当に申し訳ありません。」
- 「まずは、何があったかを詳しく教えていただけますか?」
- 「この場でできること」と「一度持ち帰って検討すること」を分けて伝える。
■ トレーナーポイント
・クレーム対応は一人で抱えず、必ず本部やエリアの責任者と連携して対応しましょう。
・コミュニケーションスキルだけでなく、「仕組み」としての改善もセットで考えることが大切です。
10-7 ファンづくりとしてのコミュニケーション
① 「ファン」とは?
- トレーナー個人のファン。
- ママ講師や赤ちゃん先生プロジェクトのファン。
- ママハタという団体のファン。
ファンは、「応援したい」「また関わりたい」と思ってくれる存在です。
そのベースには、必ず信頼と感謝があります。
② ファンを増やす小さな工夫
- 現場終了後に、先生や担当者へお礼のメッセージを送る。
- ママ講師一人ひとりの良かった点を具体的に伝える。
- 子どもたちからの声を、開催先やママ講師にフィードバックする。
③ 「また一緒にやりたい」と思ってもらうために
- 約束・時間・ルールを守る(当たり前のことを確実に)。
- 問題が起きたときほど、誠実なコミュニケーションを心がける。
- 一度きりではなく、「次」の提案や相談ができる関係を目指す。
10-8 ミニワーク:自分の話し方・聴き方をチェックする
① 自己チェックシート(例)
・早口になりやすい/間がとりづらい
・つい専門用語を使ってしまう
・相手の話を最後まで聞く前に、自分の意見を言ってしまう
・ほめ言葉より、反省点を先に伝えがち
・人に頼るより、自分で何とかしようとしがち
② ペアワークの例
- 1人が「最近の現場で印象に残ったこと」を2分話す。
- もう1人は「聴き方」と「リアクション」に集中する。
- 終わったら、「話しやすかった点」「もっとこうしてほしい点」をフィードバックし合う。
■ トレーナーポイント
・完璧なコミュニケーションではなく、「少しずつ良くなっている自分」を一緒に見ていきましょう。
・エリアの仲間同士で練習し合うことで、現場で試せる引き出しが増えていきます。
Chapter 10 のまとめ
- 話し方・聴き方は、「上手さ」よりも「相手への関心」と「誠実さ」が土台になる。
- 自己紹介やストーリーは、すべてを語るのではなく「今日の目的」とつながるひと切れを選ぶ。
- 聴き方・リアクションが、ママ講師や子ども・開催先との信頼をつくる。
- クレームになりそうな場面ほど、事実と感情をていねいに分けて聴く姿勢が大切である。
- ファンづくりは特別なキャンペーンではなく、日々の小さなコミュニケーションの積み重ねである。
次の Chapter 11 では、ここで学んだコミュニケーションを土台に、
ママ講師との連携・支援 に焦点を当てて整理していきます。