3-1 この章のゴール
Chapter 3 のゴールは、次の4つです。
- モットー・ビジョン・ミッション・クレドの違いを整理して説明できる。
- それぞれを、自分の言葉で短く言い換えられる。
- 現場で迷ったときに「どの軸に立ち返ればよいか」を判断できる。
- 受講生やママ講師にも、わかりやすく伝えられる。
「覚えるための章」ではなく、動くための軸を整える章として活用してください。
3-2 4つの軸の関係性を整理する
まずは、モットー・ビジョン・ミッション・クレドの「役割の違い」を整理します。
① 4つの軸の位置づけ(ざっくり版)
- モットー:一番大事にしたい「心の姿勢」
- ビジョン:長い時間をかけて目指していく「社会のゴール」
- ミッション:そのゴールに向かって「私たちが担う役割」
- クレド:日々の一つひとつの行動を決める「約束・行動指針」
② ロケットにたとえると
- モットー … ロケットの「燃料の質」(どんな想いで飛ぶのか)
- ビジョン … 目指す「宇宙の目的地」(どこに向かうのか)
- ミッション … そのロケットが運ぶ「使命・荷物」(何をしに行くのか)
- クレド … 飛行中の「操縦ルール」(どう飛び方を選ぶのか)
■ トレーナーポイント
・4つをバラバラに覚えるのではなく、「セット」で語る練習をしましょう。
・図やたとえ話を使うと、初めて聞く人にも伝わりやすくなります。
3-3 モットー:「偉大な愛で小さなことを」
① モットーの原文と意味
私たちは偉大なことはできません。
偉大な愛で小さなことをするだけです。
マザーテレサの言葉をベースにした、ママハタのモットーです。
「一度に世界を変える」のではなく、目の前の小さな一歩に全力を尽くす、という姿勢を表しています。
② 現場での「小さなこと」の例
- ママ講師が不安そうにしていたら、開始前に一人ひとりに声をかける。
- 子どもたちの中で、輪から少し離れている子がいたら、さりげなく近くに行く。
- 終わったあとに、先生や担当者に「今日、特に良かった点」を一つ具体的に伝える。
- 片付けのときに、誰よりも先に動き、最後まで場を整える。
③ モットーを共有するときのポイント
- ただ読み上げるだけでなく、「どんな場面で思い出してほしいか」を一言添える。
- トレーナー自身が、自分のエピソードとセットで語る。
- 研修の最初と最後にモットーに触れることで、話全体が一本の軸でつながる。
■ トレーナーポイント
モットーは、「完璧な人になろう」という合図ではなく、
「失敗しても、また小さな一歩からやり直していい」という合図として伝えましょう。
3-4 ビジョン:「無縁社会をなくす」
① ビジョンの一文
日本の無縁社会をなくす。
これは、ママハタが長い時間をかけて目指している「社会のゴール」です。
赤ちゃん先生も、そのための一つの手段として位置づけられています。
② トレーナーの説明例(30秒バージョン)
「今の日本は、地域や世代、立場ごとに人が分かれてしまって、
お互いの顔が見えにくくなっていると言われています。
ママハタは、赤ちゃんを真ん中に置くことで、
もう一度、人と人がつながり直す社会をつくりたいと思っています。」
③ 現場でビジョンをどう織り込むか
- 学校現場では、「世代をこえてつながる大切さ」として触れる。
- 企業では、「多様な人と協働する力」や「地域とのつながり」として伝える。
- 高齢者施設では、「ここに来る人たちが、みんなの縁をつなぐ存在です」と紹介する。
■ トレーナーポイント
ビジョンは「スローガン」で終わらせず、開催先ごとに
「この現場では、無縁社会のどの部分にアプローチしているのか」を一言添えると、ぐっと伝わりやすくなります。
3-5 ミッション:「子育て中だからこそできる働き方」
① ミッションの一文
子育て中がデメリットではなく、
「子育て中だからこそできる働き方」を創る。
② 具体的には何をしているのか
- 赤ちゃんと一緒に訪問することで、ママ講師自身が「働きながら子育て」できる場をつくる。
- 子育ての経験そのものを、社会教育や企業研修の「コンテンツ」に変える。
- ママ講師が、ただの「お手伝い」ではなく、社会起業家の一員として関われるようにする。
③ ミッションを伝えるときの言い換え例
「赤ちゃん先生では、子育て中のママが
“一度キャリアをあきらめた人”ではなく、
“赤ちゃんと一緒に社会に新しい価値を届ける人”として活躍できる場をつくっています。」
■ トレーナーポイント
・ママ講師向けの研修では、「働き方の選択肢」という言葉を使うとイメージしやすくなります。
・企業に説明するときは、「子育て経験を活かした人材育成・研修」という切り口で伝えると、受け止められやすくなります。
3-6 クレド:日々の行動を決める「約束」
① クレドの3つの軸
- まっすぐな瞳:偏見ではなく、「ありのまま」を見よう。
- やわらかい肌:人を傷つけない、やわらかい関わり方を選ぼう。
- 好奇心いっぱいの動き:失敗も学びに変えながら、動き続けよう。
② 研修の中での使い方例
- オープニングで「今日の時間をどんな気持ちで過ごしたいか」をクレドと結びつけて共有する。
- ロープレのフィードバックに、「どのクレドが表れていたか」をコメントとして添える。
- トラブルが起きたとき、「この場面でクレドにそって動くなら、どうする?」と問いかける。
③ チェックイン&チェックアウトでの活用
研修やミーティングの最初と最後に、「クレド」を使うことで、
チーム全体が同じ方向を向きやすくなります。
- チェックイン:今日、大事にしたいクレドを一つ選んでシェアする。
- チェックアウト:今日、自分が一番体現できたと感じるクレドを一つ共有する。
■ トレーナーポイント
クレドは、「守らなければならないルール」ではなく、
「こうありたい」という理想像を、みんなで確認しあうための言葉として扱いましょう。
3-7 ミニワーク:自分の言葉で語る「4つの軸」
最後に、トレーナーとして前に立つときにそのまま使える、
「自分バージョンの説明文」を作るワークを紹介します。
① ワーク内容
所要時間目安:個人作業 10分 / ペアシェア 1人1分
- モットー・ビジョン・ミッション・クレドそれぞれについて、「一言で言うと…」という文を1つずつ書く。
- それらをつなげて、「私にとってママハタは…」という1分スピーチにまとめる。
- ペアになってお互いに話し、聞き手は「印象に残ったフレーズ」を1つフィードバックする。
② シンプルなテンプレート例
・私にとってモットーは、「__________」という姿勢のことです。
・ビジョンは、「__________」という社会を目指すこと。
・ミッションは、そのためにママハタが「__________」という役割を果たすこと。
・クレドは、毎日の行動を決める「__________」という約束です。
■ トレーナーポイント
・書いたものをそのまま読むのではなく、「相手に話す」つもりで練習しましょう。
・完璧な文章よりも、「自分の実感」がこもっているかを大事にしてください。
Chapter 3 のまとめ
- モットー・ビジョン・ミッション・クレドは、ママハタの活動を支える4つの軸である。
- モットーは「心の姿勢」、ビジョンは「目指す社会」、ミッションは「担う役割」、クレドは「日々の行動指針」。
- トレーナーは、4つの軸をただ暗記するのではなく、自分の言葉で言い換えられることが大切である。
- 現場で迷ったときには、4つのどの軸に立ち返るかを意識することで、ぶれない判断がしやすくなる。
- ミニワークを通して、自分なりの「ママハタの説明」を作っておくと、どんな場でも安心して話せる。
次の Chapter 4 では、こうした理念を土台にしながら、
トレーナーが担う役割の全体像と、具体的な関わり方について整理していきます。