赤ちゃん先生 トレーナー研修テキスト

Chapter 16 評価・改善・ビジネスモデル・理念統合

この章では、これまで学んできた内容を総合し、
「赤ちゃん先生の価値をどう評価し、どう改善し、どう持続させるか」 を整理します。
トレーナーとして、理念と実務をつなぐ力を育て、
プロジェクト全体の未来を描く視点を持つ章です。

16-1 この章のゴール

  1. 赤ちゃん先生の価値を定量・定性の両面で評価する視点を持つ。
  2. 授業の改善ポイントを分析し、次回に活かす方法を理解する。
  3. ビジネスモデルとNPOとしての持続性の構造を理解する。
  4. 理念(VISION・MISSION・CREED)を、実務と統合して考えられるようになる。

16-2 赤ちゃん先生の「価値」をどう評価するか

① 定量評価(数字で測る)

  • 参加人数(児童・教員・企業社員など)
  • 開催回数・実施校数・リピート率
  • アンケートのスコア(満足度・理解度)
  • 離職率・授業改善・学級の落ち着きの指標(企業・学校の場合)

② 定性評価(言葉で測る)

  • 子どもの「表情」「態度の変化」
  • 先生からのフィードバック(学級経営への影響など)
  • ママ講師の自己肯定感の変化
  • 企業研修での気づき・チームの変化

■ トレーナーポイント
「数字で測れない価値」を大切にしながらも、 継続性のためには数字で証明する力も欠かせません。

16-3 PEPAモデルで評価・改善を回す

① PEPAモデルとは

赤ちゃん先生プロジェクトでは、授業・活動の振り返りに
PEPA(Plan → Execute → Pause → Assess) の4ステップを活用します。

② 4ステップの内容

  • P:Plan(計画) 目的・ねらい・対象・環境をふまえ、授業の構成を組み立てる。
  • E:Execute(実行) 計画に沿って実施。状況によって柔軟に調整する。
  • P:Pause(立ち止まる) 終了後、その日の気づき・課題・よかった点を書き出す。
  • A:Assess(評価) 次回に向けて改善点とアクションを決める。

③ PEPAのポイント

  • 一回一回の授業を「改善の素材」として扱う。
  • トレーナーだけで振り返らず、ママ講師・先生とも共有する。
  • 評価を「責める道具」にしない。あくまで成長のために使う。

16-4 改善の視点:授業・ファシリ・環境・連携

① 授業設計の改善

  • 目的とワークの整合性は取れていたか?
  • 時間配分は適切だったか?
  • 子ども・参加者の反応に合わせて調整できたか?

② ファシリテーションの改善

  • 問いがわかりやすく、出しやすかったか?
  • 声を出しにくい子や参加者に配慮できたか?
  • 説明が長くなりすぎなかったか?

③ 安全・環境の改善

  • 会場レイアウトは適切だったか?
  • 赤ちゃんの体調・環境ケアは十分だったか?
  • 危険・ヒヤリハットはなかったか?その原因は?

④ 連携の改善

  • 先生・企業担当者との連絡はスムーズだったか?
  • ママ講師との役割分担・声かけはうまくいったか?
  • エリアとして共有するべき学びは何か?

16-5 赤ちゃん先生のビジネスモデルを理解する

① NPOモデルの特徴

  • 利益よりも、社会課題の解決を目的にしている。
  • 持続のためには、適正な対価と運営コストの理解が不可欠。
  • 「善意だけ」では続かない。仕組みと整合性が必要。

② 収支構造の考え方

  • 学校・企業からの実施費用(謝礼)
  • 寄付・協賛・助成金
  • 研修費・ママ講師への謝礼の支払い
  • 事務運営(本部・エリア)の維持費

③ トレーナーの立場

  • トレーナーは、理念を伝える「顔」であり、事業を支える「担い手」でもある。
  • 対価をいただく以上、品質・安全・信頼を維持する責任がある。
  • 同時に、教育・共育の理念を体現する存在でもある。

■ トレーナーポイント
「理念とお金」をセットで考えることがプロフェッショナルです。
その視点があるからこそ、活動を長く続けることができます。

16-6 理念統合:VISION・MISSION・CREEDを現場で生かす

① VISION(社会の未来像)

「命を真ん中にした社会」をつくる──。 これは、赤ちゃん先生の根幹にあるビジョンです。

② MISSION(私たちの役割)

子ども・大人・高齢者・企業・地域… 多様な人たちが赤ちゃんを中心に「対等な学び」を生み出す場をつくること。

③ CREED(行動指針)

  • 肯定から始める。
  • 命と安全を最優先にする。
  • 違いを尊重し、対話をつなぐ。
  • 共感と感謝を育てる。
  • 誠実に、学び続ける。

これらは「飾る言葉」ではなく、 トレーナーの ふだんの振る舞いそのもの に表れます。

16-7 トレーナーとしての成熟とプロフェッショナル像

① トレーナーの成熟度が、場の質を決める

  • 「教える人」ではなく、「場をつくる人」へ。
  • 正解を伝えるのではなく、「考える場」をつくる。
  • 参加者の変化を大切にし、言語化する。

② 求められるスキルセット

  • ファシリテーション力
  • 安全管理・リスクマネジメント
  • コミュニケーション・対話力
  • 企画力・運営力・改善力

③ トレーナーは「学び続ける人」

自分自身が学び続ける姿を見せることで、 子どもにも大人にも、学びの価値を体現していきます。

Chapter 16 のまとめ

  • 赤ちゃん先生の価値は、定量・定性の両面から評価される。
  • PEPAモデルで授業を振り返ることで、改善のサイクルが回る。
  • ビジネスモデルの理解とNPOとしての持続性は、活動を継続する土台である。
  • 理念は現場で生かすことで、人と人をつなぎ、学びを生み出す力になる。
  • トレーナーは、学び続け、理念を体現する「プロフェッショナル」である。

これでトレーナー研修テキスト全16章が完成です。
ここから先は、あなた自身の経験と現場での気づきを重ねながら、
赤ちゃん先生プロジェクトをさらに進化させていきましょう。